こんな方におすすめ
- SDGs8「働きがいも経済成長も」取り組みを知りたい!
- SDGs8の水産業の取り組みってあるの?
- SDGs8「働きがいも経済成長も」の取り組みで重要なことって?
この記事を書いてる人
- 農林水産省推進、『ノウフク・アワード2022』水産企業で歴代初の受賞。
- 『とうほくSDGsアワード2023』優秀賞
- 人の心を様々な角度から理解し、導くメンタルデザイナー
- サラリーマン、経営者の経験(3社)を持つ32歳。
この記事を読んでわかること
- SDGs8「働きがいも経済成長も」の水産業の取り組み
- SDGs8「働きがいも経済成長も」障害者との関わり
- SDGs8「働きがいも経済成長も」の成功例
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を読み解くと、「働きがい」と「経済成長」のどちらもバランスよく伸ばしていく事が重要と考えられており、我々の働きがいが経済成長へと直結することを目標に定められています。
SDGs8の難しさは、会社が大きく関わっていることにあります。
会社の目的は利益を出すことですが、その目的に向かう中で会社は、
- 経済を成長させる仕事を生み出すこと
- 働く人にやりがいを持たせること
が求められるのです。
今までは利益や利便性、サービス力を追い求めて日本は豊かになりましたが、働き方改革などから分かる通り、働く人がやりがいを感じる状態が必須となり、ブラック企業が淘汰される時代となりました。
- 働きがい
- 経済成長
- 会社の利益
この3つをバランスよく伸ばしていくことによって、より良い社会を目指そうというのがSDGs目標8「働きがいも経済成長も」となっています。
ディーセント・ワークの推進
「すべての人々のための持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」
ディーンセント・ワークとは
現在、働き方改革や残業時間の削減などで働き方に関心が集まっています。
運送業界の2024年問題もドライバーの働く時間が他業界に比べると長いことが問題視され、2024年4月から時間外労働(残業)の上限規制が適用されることで現在運べてる荷物が運べなくなる可能性が高いされており、我々の働きがいと経済成長の両立が難しいことがわかります。
どんな業界でもディーセント・ワークでなければならないことから法律で強制的にルールが変わりますが、その対策は各会社ごとでは難しく、業界全体での大きな動きが求められているのが現状です。
ターゲット
8.1 | 各国の状況に応じて、一人あたりの経済成長率を持続させ、特に後発開発途上国では少なくとも年率7%のGDP成長率を保つ。 |
8.2 | 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化や技術向上、イノベーションを通じて、より高いレベルの経済生産性を達成する。 |
8.3 | 生産的な活動、働きがいのある人間らしい職の創出、起業家精神、創造性やイノベーションを支援する開発重視型の政策を推進し、金融サービスの利用などを通じて中小零細企業の設立や成長を促す。 |
8.4 | 2030年までに、消費と生産における世界の資源効率を着実に改善し、先進国主導のもと、「持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組み」に従って、経済成長が |
8.5 | 2030年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する。 |
8.6 | 2020年までに、就労、就学、職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。 |
8.7 | 強制労働を完全になくし、現代的奴隷制と人身売買を終わらせ、子ども兵士の募集・使用を含めた、最悪な形態の児童労働を確実に禁止・撤廃するための効果的な措置をただちに実施し、2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくす。 |
8.8 | 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。 |
8.9 | 2030年までに、雇用創出や各地の文化振興・産品販促につながる、持続可能な観光業を推進する政策を立案・実施する。 |
8.10 | すべての人々が銀行取引、保険、金融サービスを利用できるようにするため、国内の金融機関の能力を強化する。 |
8.a | 「後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)」などを通じて、開発途上国、特に後発開発途上国に対する「貿易のための援助(AfT)」を拡大する。 |
8.b | 2020年までに、若者の雇用のために世界規模の戦略を展開・運用可能にし、国際労働機関(ILO)の「仕事に関する世界協定」を実施する。 |
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」と障害者の関係

日本の企業で慢性的に起きている問題の一つに人手不足があります。
これは少子高齢化も関係してますが、深刻な問題となっております。
また、障害者の「働きがい」が問題となっております。
障害があるというだけで面接すら受けることができず、働く能力や、働く意欲があるにも関わらず、働くことができていない人が多いという問題があります。
SDGsでは「誰一人取り残さない」ことを誓っており、障害者雇用の問題も解決が急がれています。
日本の企業で起きている人手不足の問題と、働きたいけど働けない障害者の問題に対して積極的に取り組む必要があり、両方解決するアイディアにより、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の目標達成に近づくことができます。
障害者の雇用状況
障害者の労働に関するデータとして、厚生労働省の「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」では、民間企業での障害者雇用数が61万3,958人で前年との差が1万6,172人増加の2.7%増加しています。
しかし法定雇用率が2.3%に対して実雇用率が2.25%にとどまっており、法定雇用率達成企業の割合が48.3%となっています。
出典:「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)
この結果は、障害者が働ける環境を整えることが難しく、障害者への理解が進んでいないことを表しています。
SDGs「働きがいも経済成長も」における三陸ラボラトリの取り組み

三陸ラボラトリ株式会社は岩手県大船渡市に拠点を置く、水産会社です。
三陸ラボラトリの取り組みはSDGs8「働きがいも経済成長も」以外にも付与していますが、ここでは「働きがいも経済成長も」に絞って解説していきます。
他の目標について気になった方はこちらも合わせてお読みください。
https://job-joy-hack.com/sdgs-12/
https://job-joy-hack.com/sdgs-14/
取り組み内容
東北の沿岸部では生産や加工の担い手不足や海産物の規格外品の廃棄などの問題が起きています。
この問題を解決するため、東北の名産品である「ホヤ」で、三陸ラボラトリが主導する「むきホヤ」プロジェクトが福祉事業所などの異業種との協力で成功しました。
プロジェクトは、サイズが小さかったり、形が悪い規格外のホヤを三陸ラボラトリで剥き身の状態にし、個からグラムに単位を変えて販売するというもの。
その作業を担うのが地域のA・B型事業所に所属する障害者や支援センターを介して働く場所を探している障害者です。
嗜好性が高く、捌いたことがない人が多いホヤですが、作業工程を細分化し、それぞれの作業をシンプルにし、自分のできる(やりたい)作業に自由に取り組める仕組みを構築しました。
また、パッケージには知的障害のあるアーティストによるデザインを「岩手県産」という産地表示シールに使用しました。
- 水産資源のロス低減と有効活用
- 販売形態を現代のスタイルに
- 地域産業の持続・維持
- 地元の福祉事業所による就労訓練や社会参加
- 知的障がい者によるアート作品の活用
これにより、地元ならではの商品開発が実現しました。
プロジェクトの効果と実績
2021年1月から2022年9月までのデータです。
廃棄されるはずのホヤ使用量 | 162t |
剥きホヤ販売本数 | 76,486本 |
のべシール数 | 94,274枚 |
のべ雇用人数 | 11人 |
B型事業所のべ作業時間 | 3,178時間 |
B型事業所のべ工賃 | 95,3250円 |
剥きホヤ売上 | 15,683,712円 |
瓶うに等の他売上 | 43,353,753円 |
販売先
国分東北様、イオン東北様、イオンスーパーセンター様、マックスバリュ南東北様、田清魚店様、清次郎様、魚耕様、新宿伊勢丹様、神文ストア様など多数の販売店様よりSDGsの取り組みと品質、美味しさ、安全性などをトータル的にご評価いただき、販売させていただきました。
プロジェクトから見える「働きがいも経済成長も」
プロジェクトの内容から少し踏み込んで、我々がどのようにSDGsの目標8に取り組んだかを解説します。
B型事業所との連携
B型事業所とは一般企業で働くことが難しい人に対して社会参加や就労機会の創出、社会訓練を行う福祉サービスです。
B型事業所は施設外就労というサービスをしているところが多く、直接企業へ行き、委託された作業を事業所職員の指導の下、行うことで「工賃」という形で賃金を貰う、ということもやっています。
一般的には時間が限られており、単純作業を切り分けることで成り立っていますが、プロジェクトではホヤの剥き作業を3事業所に来ていただき、毎日15名ほどの利用者に作業してもらいました。
障害者の実雇用率100%
B型事業所の利用者と毎日作業をしていると覚えが早い人や意欲的に作業を進める人など仕事に前向きな人が多くいることに気がつきました。
その中で、我々は通勤することができ、働くことに意欲のある人を数名雇用しました。
人不足の中で働きたいと思っている人は企業にとってとてもありがたく、貴重な人材として事業所職員やご家族、ハローワーク、支援センターなどと打ち合わせをし、本人の希望に添う形を模索し、雇用へと繋げることができました。
できる作業・得意な作業
障害がある・ない関わらず、人は苦手なことが少なからずあります。
計算が苦手だったり、肉体労働が苦手だったりとさまざまです。
そんな中でB型事業所の利用者・従業員にはできる作業や得意な作業を続けてもらいました。
その結果、ホヤの剥き作業という仕事を好きになってくれる人や毎日来てくれる人など、それぞれの働きがいに繋けることができました。
ノウフク・アワード2022受賞

ノウフク・アワードとは、農林水産省と厚生労働省が推進しており、ノウフク(農福連携等)の取り組みを表彰を通じて実践者を応援し、その価値を多くの人に知ってもらい、地域社会に根付かせるためのアワードです。
出典:ノウフクWEB(運営【 一般社団法人 日本基金】)
ノウフク・アワード2022において、水産業を営む企業では日本初の受賞することができました。
コロナ禍で立ち上げた小さい会社ですがSDGsは大きい会社だけがやるものではありません。
SDGsを知り、日本の現状を知り、世界の現状を知り、自分にできることを行動することが大切です。
最後に
SDGs8「働きがいも経済成長も」に関しての三陸ラボラトリの取り組みをもとに解説していきました。
大企業ほど行動に時間がかかってしまいますが、中小企業だからすぐに行動しすることができたと思っております。