海の絵の中に海の豊かさを守ろうと書いてある

SDGs

SDGs14【海の豊かさを守ろう】とは?課題と具体的な取り組みをわかりやすく解説

こんな方におすすめ

  • SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」って?
  • 個人や地域でできる取り組みってどんなのがあるの?
  • 現在の水産資源の状況は?

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この記事を読んでわかること

  • SDGs14の日本と世界の状況
  • 企業の取り組み事例や個人でできる取り組み
  • SDGs14の日本における重要性
最後まで読むと、日本の水産業が問題解決を急いでいることがわかるようになります!

持続可能な開発目標SDGs(エスディージーズ)の目標14「海の豊かさを守ろう」は、最近テレビや新聞などで大きく取り上げられるようになりました。

日本は海に囲まれている島国であり、国家間での水産資源の争いをご存知だと思います。

最近では福島原子力発電所の処理水をめぐる問題で中国が不買運動を行い、国家間での争いが絶えることはありません。

そんな中で海水温の上昇や、マイクロプラスチック問題、海洋酸性化、水産資源の不足、海の砂漠化(磯焼け)などさまざまな課題があります。

これらの問題をまずは知り、考えて、行動してみることが大事です。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは?

海や水産資源を持続的に利用するために掲げられた目標です。

地球の半分以上が海でできており、海が豊かではなくなるということは地球の半分以上が豊かでなくなる、といえます。

そうならないために掲げられた目標であり、SDGsの中で関心が高い目標となっています。

目標14の内容として10個のターゲットが存在します。

14.1から14.7まではそれぞれの達成目標を示しており、14.aから14.cはその方法を示しています。

14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

引用:我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 23P-24P 外務省より

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」現在の水産資源の状況

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」現在の水産資源の状況

水産資源の状況は海域によっても変化します。

海域によって90%程度が「生物学的に持続可能」となっている海域もありますが、60%程度が「生物学的に持続不可能」となっている海域もあります。

日本周辺を含む北西太平洋海域では、およそ76%が持続可能と評価されており、比較的悪くない数字となっていることがわかります。

しかし、この数字は2016年の数字であるため環境の変化等により水準が変化していることがあり、決して油断はできません。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の解決が急がれている課題

次に解決が急がれている課題をいくつかご紹介します。

どれも世界規模で解決が急がれていますので情報としてはすでに知っているものもあるかと思います。

海水温の上昇

海水温の上昇

引用:気象庁(https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html)

2020年までのおよそ100年間の日本近海における海水温の上昇率は+1.24℃/100年となっています。

この数字は世界の平均上昇率よりも大きく上回っています

海水温が1℃上昇することは人間に置き換えるとおよそ10℃上昇したことと同じくらいのダメージがあります。

これは水産業界では有名な話であり、魚が住む環境を変えようとするのは必然と言えるでしょう。

マイクロプラスチック問題

マイクロプラスチック問題

引用:海と日本PROJECT in ふくしま (https://fukushima.uminohi.jp/report/kaiyogomi2/)

海の環境問題といえば海洋ゴミが思いつくと思います。

環境省の調べでは海洋ゴミの65%が漁に使う道具や発泡スチロール、ペットボトルなどのプラスチックゴミであることがわかっています。

プラスチックは土に還る事はありません。
溶けて無くなることもありません。

海を漂うプラスチックゴミは長い年月をかけて砕けて細かくなり、目には見えないほど細かくなってしまい海を漂います。

その細かくなったプラスチックゴミのことをマイクロプラスチックと呼びます。

目に見えないくらい小さくなってしまったマイクロプラスチックは海洋生物の呼吸に紛れて体内に侵入したり、餌と勘違いした海洋生物が間違って食べてしまうのです。

もちろん体の中で分解されることがないので体内に蓄積されます。

世界中は海で繋がっています。世界中で捨てられたゴミが日本に流れ着くこともあります。

図では日本海側に多くのゴミが流れていることがわかります。

日本の周りには4つの海流が流れており、それぞれの海流に乗ってゴミが流れてくるのです。

流れてくるゴミを見ればどこの国から流れてきたかわかるかもしれません。

海洋酸性化

海洋酸性化とは、二酸化炭素が排出されることによる温室効果ガスです。

地球温暖化の原因でもあるので知っている方も多いかもしれません。

海の砂漠化(磯焼け)

海の砂漠化(磯焼け)とは、浅瀬の岩場に生えている海藻類が消失する現象のことを言います。

つまり、生えていた海藻が、何かしらの理由で食べられてしまったり、水温の変化等により枯れたり芽生えなかったり、強い海流に流されてしまった場合に起きてしまいます。

理由としては、ウニによる食害や、異常気象による海流の変化や、海面上昇により繁殖や光合成などの植物の活動ができなくなったのが原因とされています。

一度発生してしまうと回復するまでにかなりの時間がかかってしまいます。

また、海藻類が生息しているところは魚たちの生息地でもあります。

海藻に卵を産む魚にとっては産卵ができなくなってしまい、魚の繁殖にも影響が出てしまいます。

日本ではウニが生息している海域に広く見られる現象となっておりウニの駆除や海藻の植え込みなど対策が進められています。

高級食材として知られるウニの数が多くなりすぎて駆除されている事実を知っておきましょう。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の企業や団体の取り組み

企業や団体で行われている事例をご紹介いたします。

1人の活動では心細いですが、参加型の取り組みであれば同じ目的で集まっているので、楽しくSDGsを学びながら取り組むことができます。

日本財団「海と日本」の活動

青いアイテムを身につけて一斉清掃をするという試みです。

自分たちで海の清掃を企画することで推進パートナーとしてイベントに参加することができます。

海ごみゼロウィーク強化期間などがあり、活動が多くありそうです。

各地域の青年会議所の活動

各地域の青年会議所ではSDGsを学び、地域がより良くなるように各種イベントを開催しています。

沿岸地域の青年会議所であれば海にまつわるイベントを開催しているかもしれません。
ぜひ探してみてください。

各地域の養殖業

各地域の養殖業

引用:食品データ館(https://urahyoji.com/added-value-of-aquaculture/)

実は昔から持続可能な漁業をやっていたのです。
それは養殖業です。

日本で盛んに養殖に取り組まれているのが愛媛県となっており、有名なのはマダイやブリ類、クロマグロです(2019年)。

現在ではエサの改良も進んでおり、おいしさはもちろん、安全性でも高い評価を得ています。

全ての魚を養殖することができませんが、技術が進みたくさんの魚が持続可能になるといいですね!

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」における三陸ラボラトリ株式会社の取り組み

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」における三陸ラボラトリ株式会社の取り組み
ここで筆者が立ち上げた水産会社、三陸ラボラトリ株式会社のSDGsを解説します。

さらに詳しい解説はこちらからどうぞ。


規格外として捨てられていた東北の夏の特産品であるホヤ福祉と協力し、障害者の力を借りて「剥きホヤ」にして大手量販店で通年での販売をしました。

水産の課題であった、規格外の魚の廃棄問題は、水産資源が少なくなっている現代ではかなり深刻な問題でした。

さらには人不足も相まって厳しい状態でした。

福祉の課題は障害者を受け入れる企業が少なく、仕事が少ないため、低賃金問題が起きていました。

水産と福祉の架け橋となり、繋ぎの役割を果たすことにより出来上がったこの形は、農林水産省が推進する『ノウフク・アワード2022』で水産会社では全国初受賞をすることができました。

水産だけでなく福祉の課題も包括的に解決する手段となり、今ではこの知識を広める活動をしております。

こちらからお気軽にご相談ください。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の注目の取り組み

アクアポニックス

アクアポニックスとは水産養殖の「Aquaculture」と、水耕栽培の「Hydroponics」を掛け合わせた造語です。

まだ世の中にはあまり浸透していないサステナブルな循環型農業システムです。

魚と野菜を一緒に育てる方法で、魚の排せつ物を微生物が分解し、それが植物の栄養となり育つというシステムです。

さらに植物に濾過された水は水槽に循環し、水槽はきれいなままです。

水を交換する手間がないため世話が非常に楽なのがメリットです。

海の魚ではまだ難しいですがチョウザメをアクアポニックスで飼育し、生産されたキャビアが現在注目されています。

サステナブルファッション

サステナブルファッションとは海洋ゴミから衣類を作ったり、靴や鞄を作り、それを身につけたファッションのことです。

今や大手ファッションブランドはそれぞれの特徴を活かしながら展開しています。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の個人でもできること

ここまでSDGs14「海の豊かさを守ろう」について解説してきました。

様々な取り組みがある中で個人でもできることをご紹介します。

フードロス

「食べる分だけ」買う、使いきれない食材は冷凍保存する。などこれは自分たちの生活に密接に関わっています。

コンビニの廃棄や恵方巻きの廃棄など、企業でも問題視されていましたが徐々に浸透しているかと思います。

エシカルな消費行動

地球のためとはいってもオシャレじゃなければやりたくないって人もいるかと思います。

サステナブルでオシャレなアイデアやアイテムを使ってエシカルな消費をするのも楽しいと思います。

取り組みの発信

ただ取り組むだけでなく、SNS等で発信することをおすすめします。

発信することで自分も知らないことや学びが深まります。
どんどん発信しましょう。

まとめ

いかがでしたか?
日本には欠かすことができない「海の資源」。時間は長くかかってしまうかもしれませんがスタートすることでゴールである目標達成へと近づきます。
まずは自分ができる範囲、知識で少しずつ始めてみましょう。

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kazuya

水産業に特化したWebコンサルタント、佐々木和也です。現場経験を持ちながら、Webマーケティングの力でビジネスの成長をサポートしています。水産業ならではの課題を理解し、Webサイト制作からSEO対策、販売促進サポートまで、包括的で効果的な解決策を提供します。コストを抑えつつ、売上アップを目指す戦略を立案し、企業の成長を共に目指します。デジタルの力で、水産業の未来を切り拓きます。

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